出来るだけわかり易いキリスト教II2005年3月

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12 第10の戒め
あなたの隣人の家を欲しがってはならない。すなわち隣人の妻,あるいは,その男奴隷,女奴隷,牛,ろば,すべてあなたの隣人のものを,欲しがってはならない。」(出エジプト20:17)

  第10の戒めは,貪欲を戒めます。これまでは殺人,姦淫,盗み,偽証など具体的な行為が戒めの対象の前面に出ていましたが,この第10の戒めでは,「欲しがってはならない。」と人の内面の行為を問題にしています。もちろん第9戒までも人の心の奥深くまで問いが発せられていましたが,ここにきて,人の内面が集中的に問われます。

  心の奥底にまで達する神の戒めであることを印象付けられると同時に,外的悪の行為が,人の内的欲望から出発していることを確認させられます。キリストもこのように言います。「口から出るものは,心から出て来ます。それは人を汚します。悪い考え,殺人,姦淫,不品行,盗み,偽証,ののしりは心から出て来るからです。これらは,人を汚すものです。」(マタイ15:18-20)。内側から出てくるものが,具体的な悪の行為へと展開していくのです。十戒の結びはその根本を見据え,戒めを与えています。

  この戒めは単なる禁欲主義の勧めではありません。ここで警戒されているのは貪欲です。利己的な貪欲が大きな悪をもたらすのです。ダビデ王は隣人の妻バテ・シェバを欲しがって,実際に姦淫を犯し,夫ウリヤを殺しました(Uサムエル11章)。悪王アハブは隣人ナボテの畑を欲しがって,ナボテを殺し,土地を奪いました(T列王記21章)。利己的な貪欲が,姦淫,殺人,盗みへと展開する実例を見ることができます。そしてたとえ「善人」であっても,この貪りの罪からは自由ではないことを知らされます。それゆえに十戒の結びでこの戒めが与えられていることに意味があります。

  パウロは「むさぼり」を殺してしまいなさいと教えます(コロサイ3:5)。そして「満ち足りる心」で生きなさいと命じます。「満ち足りる心を伴う敬虔こそ,大きな利益を受ける道です。」(Tテモテ6:6)。「欲しがってはならない」という戒めは,貪欲に対して目を光らせると共に,キリストの愛に満ち足りて生きることを促します。それが隣人を愛する生き方を可能にします。

  ウェストミンスター小教理問答を参考にします。問い80の答「第十戒が求めている事は,私たち自身の状態に全く満足すること,それも,隣人とそのすべての所有物とに対して,正しい愛の気持ちをもって満足することです。」1

1 日本基督改革派教会大会出版委員会編『ウェストミンスター信仰基準』(新教出版社,1994.)34.

( 3月 6日)

   イースター特集のため,3月13日から27日まで「出来るだけわかり易いキリスト教II」はお休みします。
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